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自己抜去の防止対策|血管留置カテーテル・経鼻チューブについてご紹介!

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皆さんは、患者さんの自己抜去を防ぐために、ミトンの使用や手足を縛るなどの選択をせざるを得なかった経験はありませんか?
これらの行為は、患者さんの自由を制限してしまう
身体拘束にあたります。 
このような身体拘束を減らすため、最小化に向けて診療報酬改定が行われました。
診療報酬の改定についてはこちら 

身体拘束を最小化するためには、そもそも自己抜去がどうして起きるのかを考えて、その原因から対策を考えていくことが必要になります。
特に、血管留置カテーテル経鼻チューブの自己抜去に困っている方が多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事ではこの2つの機器についてそれぞれ、自己抜去を起こしてしまう患者さんの気持ちに向き合った対策を紹介します。

自己抜去はなぜ起こるの 

院内で、カテーテルやチューブの固定テープによって、ムレや痒みなどの不快感が発生している可能性はありませんか?
これらの不快感が自己抜去を引き起こしている場合があります。そこで「血管留置カテーテル」「経鼻チューブ」 について、患者さんの不快感を軽減する対策を紹介します。

●対策1|血管留置カテーテル自己抜去対策 

血管留置カテーテルの自己抜去対策において、「固定方法の見直し」「刺入部固定用のフィルムの見直し」があげられます。
皆さんは、固定する際に抜去を防ぎたいからと、フィルムの周りに不織布テープを追加してガッチリと固定していませんか?

上記のような過剰な固定をしても固定力が強くなるわけではなく、不織布テープが不快感を増大させ、かえって自己抜去を引き起こす可能性があります。
不織布の固定力の検証をした記事はこちら
もしこうした固定方法を行っている場合には、周囲の不織布テープを減らすなどの見直しの検討を行う必要があるかもしれません。

しかし固定方法の見直しをしたからと言って、不快感が発生してしまうようなフィルムを使用していれば、自己抜去を引き起こしてしまう可能性が高いです。
以下は刺入部固定用のフィルムについて、自己抜去が起こる状態とその対策を示しています。

自己抜去が起こる状態 対策
ムレて痒い 水蒸気透過性の高いフィルムを使用する。
カテーテルのロックナット部分が圧迫されて痛い カテーテルの中にクッション材を挟む。
フィルムのゴワつきによって違和感が生じる ゴワつきの少ない極薄のフィルムを使用する。

上記のようにムレやかぶれによる不快感を防ぐには、水蒸気透過性の高いフィルムやゴワつきの少ない極薄のフィルムドレッシングを使用することがおすすめです。
固定方法の見直しだけではなく、フィルムの見直しも同時に行うことによって、患者さんの不快感を軽減し、快適に過ごすことができるのではないでしょうか。

●対策2|経鼻チューブ類の自己抜去防止 

経鼻チューブの固定はやり方によっては、頬にチューブが押し付けられて、患者さんが痛みなどの不快感を感じやすい処置です。
次の図のように、通常の固定方法ではチューブが直接肌に触れるため、肌が圧迫されてしまいます。この圧迫が不快感となり、自己抜去を引き起こす可能性があります。
こうした不快感を防ぐためには、テープの「Ω固定」を活用する方法があります。

Ω固定は、チューブが直接肌に触れないので肌の圧迫が起きにくく、患者さんの不快感を軽減します。

以下にて「Ω固定」の固定方法についての詳しい情報を紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
Ω固定・オメガ留めとは-アイキャッチ
ほかにも圧迫力の強い布テープなどで固定すると、鼻腔にチューブが押し付けられて強い痛みを伴う潰瘍を引き起こし、自己抜去につながってしまいます。
そんな時は、固定力がありつつもチューブを押し付けすぎないやわらかいテープを使う方法があります。

また不透明な布や不織布テープ で固定していると皮膚の状態を確認しづらく、かぶれや赤みなどの肌トラブル を見逃してしまうことがあります。皮膚の観察できないままでいると、炎症が悪化し、患者さんの不快感が増して自己抜去につながる 可能性があります。このような問題を解決するためには、透明なテープを 選択することも対策の一つです。

透明なテープは、貼ったままでも肌の状態を観察することができるので、観察をするために貼り替える回数が減るだけでなく、万が一肌トラブルが発生した場合でも早期発見が可になります。
また、見た目を気にする患者さんにもおすすめです。

●まとめ

今回は、自己抜去はなぜ起きるのかを考え、原因から患者さんの自己抜去を防ぐための対策ついてご紹介しました。患者さんが自己抜去を起こしてしまう原因を正しく理解し、それに応じた適切な対策を行うことによって、患者さんのQOL(生活の質)の向上につながっていきます。また、今回紹介した対策はテープの見直し固定方法の見直しなど、小さな対策ですが、その取り組みの積み重ねが自己抜去のリスクを軽減し、少しずつ身体拘束の最小化につながっていくのではないでしょうか。


●「エアウォールIV」快適さと固定力と兼ねそろえた極薄フィルムドレッシングです。 カテーテルの自己抜去でお悩みの方はぜひご覧ください。

クリアホールド自己抜去が心配な経鼻チューブをしっかりと固定します。