みんなの、使い方・工夫
「こんなときどう使う?」
いろんな工夫を、写真・動画でわかりやすく。
カテーテル固定において、抜去が不安だからとつい多く貼りがちな不織布テープ。
下記の写真のようにサージカルテープ等で周りを覆ったり、周りが不織布で覆われているテープを使用して固定したりしていませんか?
見た目はガッチリ固定されているので一見固定力が強くなっているように見えますが、フィルムの周りに貼ってある不織布テープで本当に固定力は強くなっているのでしょうか?
不織布テープが貼られていることで、逆に不快感を生じてしまい、患者さんが引っかくなどの自己抜去につながっている恐れもあります。
不快感は自己抜去の天敵です。実際に医療従事者にアンケートを取ったところ、89%の人が「不快感が抜去の原因になっているのではないか」と考えていることが分かりました。
そこで今回は、周りに不織布テープを貼ることで本当に固定力が強くなっているのかどうか検証してみました。
検証方法
3パターン(フィルムドレッシングのみ・フィルムドレッシング+固定の不織布・フィルムドレッシング+固定&周囲の不織布)の固定をして、それぞれ一定の力でカテーテルを腕と平行方向に引っ張ります。カテーテルを10mm、12mm、16mm動かすのに必要な力の強さを測り、固定力の強さを検証します。
検証結果
検証結果を表にまとめました。
数字が小さいほど固定力が弱く、大きいほど固定力が強いです。
結果として、フィルムドレッシングのみの固定方法の場合は固定力が弱めでした。
しかし、固定の不織布と固定&周囲の不織布を付けた場合の固定力の差は誤差程度でほとんど違いはありませんでした。
まとめ
抜去を防ぎたいがために不織布をたくさん貼っても、固定力にはそこまで差がないことが分かりました。
その上不織布を過剰に貼ることによって不快感を増やしてしまい、抜去の原因になるというリスクも生んでしまいます。
大事なのは以下の写真のように固定力に大きく影響するチューブ部分はしっかり固定しつつも、他の部分は快適にすることです。こうすることで、快適かつしっかり固定が可能になります。
また周囲の不織布を減らすことで、不快感の軽減だけでなく、不織布テープの使用量の減少にもつながります。
あくまで固定方法は一例なので、患者さんの状態に合わせて快適な固定方法を検討してみてください。
▼今回使用したフィルムドレッシング
伸縮性の高い極薄フィルムを使用したエアウォールIVなら、チューブ周りにフィルムが密着してしっかり固定ができるだけでなく、快適に固定できます。
切り込みタイプ・レギュラータイプ・フレームタイプの3種類があるため、目的や使用機器に合わせてご使用ください。