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病院機能評価項目に「MDRPU対策の実施」が追加|評価認定のために何をすべき?


2023年4月より、すべての機能種別の病院機能評価の中項目である「褥瘡の予防・治療を適切に行っている」に、「スキン-テアや医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)対策の実施」という評価要素が新たに追加されました。

この記事では、今回追加された評価要素のなかでも「医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)対策の実施」について、MDRPUとは何か、また高い評価を受けるために必要なポイントをお伝えします。
今回の追加をきっかけに今の対策内容の見直しを行う施設や、これから対策を進めていくという施設の方はぜひ参考にしてみてください。

●追加評価要素「医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)対策の実施」とは?

今回追加された医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)とは、NPPVマスクや弾性ストッキング、酸素マスクなどの、以下の写真のように医療現場で使用される様々な機器による圧迫で生じる創傷や潰瘍のことです。
※出典:日本褥瘡学会「MDRPUポスター」,
https://www.jspu.org/medical/mdrpu/docs/mdrpu.pdf(参照 2022年7月3日)

MDRPUは、皮膚の菲薄化、循環不全、低栄養などの「個体要因」や機器のサイズや形状の不一致、機器の情報不足などの「機器要因」が重なって発生しています。

「個体要因」に関しては、皮膚は薄くないか?循環不全はないか?など、患者さんのリスクの高さを知る必要があります。「機器要因」に関しては事前に測定を行い、サイズ・形状をしっかり考慮して適した機器を選択する必要があります。
最後に、個体要因と機器要因で課題があったところを改善し、機器装着後の具体的なMDRPU対策の実施計画を立てます。

装着時は、機器によって方法を変えながら、正しくフィッティングすることが重要です。
また装着後については、皮膚の状態を定期的に観察し、発赤などを発見したらすぐに対処することが大切です。
他にも、少しでも患者さんの負担が 軽減するよう、「外力を軽減することができないか?」「機器を使わない時間を作れないか?」「機器が当たる部分を除去することはできないか?」などの対処を検討します。

MDRPUの詳しい発生原因やケアの流れと具体策については、以下のレポートをご覧ください。

●病院の質を上げ、高い評価を受けるために取り組むべきことは?

では、何をもってMDRPU対策を実施していると評価されるのでしょうか。
解説集には「機器の適切な使用の実施が求められ発生状況を把握しておくことが必要」とあります。MDRPUの発生要因のアセスメントに基づいた機器の使用や皮膚の観察を通した状況把握が徹底されていることが重要です。
※出典:公益財団法人 日本医療機能評価機構,『病院機能評価 機能種別版評価項目 解説集 一般病院2〈3rdG:Ver.3.0〉』,2023,p.114

病院機能評価の目的としては、病院の質をあげることで患者さんが安心安全な医療を受けられる環境にすることです。そのため、一部の病棟や看護師のみがMDRPU対策を実施していても評価にはつながりません。評価時に訪問調査が行われる病棟は評価機構側からも指定されるので、施設全体での統一されたMDRPU対策が求められます。

施設全体での対策実施のために、以下のような方法が挙げられます。

1,院内でのMDRPU教育の徹底を行う

MDRPU対策の資料を配布したり、セミナーなどを視聴したりしてもらうことで、対策しなければいけないという意識づけを行いましょう。他にもMDRPUに関する勉強会を開催したり、「この機器を使用する際はこうMDRPUを対策する」というマニュアルを作成したりなどの教育方法があります。いずれも知識だけでなく、実践的な対策方法まで理解してもらうことが大切です。以下の記事でさまざまな教育ツールを紹介しています。
知識レベルに合うMDRPU教育ができる!状況ごとに選べる資料・動画が充実|skinix(スキニックス)
知識レベルに合うMDRPU教育ができる資料・動画

マニュアルを作成するための画像集やMDRPUに関する事例等については以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
MDRPU対策の「院内マニュアル」作成・更新に使える画像集|無料ダウンロード可
MDRPU対策院内マニュアル作成・更新に使える画像集

2,他の病院でのMDRPU対策を参考にする

実際に他院で実践されているMDRPU対策を参考に、取り入れることも方法の一つです。MDRPU対策を行っている病院の例を見ることで、対策の仕組みを構築していくイメージをつかむことができます。
以下で、静岡県立静岡がんセンターでの運用例を紹介しています。

3,対策品を導入する

知識の教育やマニュアルの整備を行った上で、外圧低減ケアが必要な場合にはMDRPU対策専用のクッション材を活用することも対策の一つです。
今までのケアを行いつつ、MDRPU対策用のクッション材を導入することで、「この機器を使用する際はこの製品を使う」というMDRPU対策の意識が根付きやすくなります。

▽MDRPU対策用のクッション材


ココロール・ココロールミルは自由にカットして、機器が当たる皮膚側、機器側、両方に貼り付けることができるクッション材です。幅広い機器に対応しているので、これから対策を進めていく施設にもぴったりです。

いずれにしても、マニュアルを作って終わり、対策品を導入して終わりではなく、MDRPU対策がどこまで浸透しているかをチェックしながら、高い評価を受けるための施策を進めていく必要があります。
skinixではその施設の状況をお聞きしたうえで、「対策をしているつもりなのに、MDRPUが発生してしまう」「MDRPUの対策について、どこから手を付けたらいいか分からない」などの課題に沿ったMDRPU対策の解決策の提案も行っています。以下よりご相談を受け付けております。