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小児への経鼻チューブの固定方法|「鼻翼基部固定」で抜去や剥がれなどのリスクを低減

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経鼻栄養チューブを赤ちゃんに使用する際に、「チューブをどう固定するか」で迷うことはありませんか?固定テープが剥がれないようにしっかり固定したいけれど、肌トラブルが発生したり、痛々しい見た目になってしまうのも困る・・・といった声をよくお聞きします。

この記事では、赤ちゃんへの経鼻チューブ固定で起こりやすい様々な問題を解決するための固定方法の一例を紹介します。問題が起こっている方はもちろん、より良い固定方法を探されている方、施設内での貼り方手順の統一にお悩みの方にも、参考になれば幸いです。

■小児の経鼻チューブ固定で起こりやすい問題は?

赤ちゃんの発達段階や状況にもよりますが、起こりやすい問題としては、赤ちゃん自身がチューブを引っ張って抜去されてしまう「自己抜去」や、固定のためのテープが汗や鼻水などで濡れて剥がれてしまう「テープの剥がれ」が挙げられます。

また、チューブによって鼻孔縁や鼻翼が圧迫されて起こる創傷(医療関連機器褥瘡 :MDRPU)も、見過ごせない問題です。

安全に留置を続けるためには、よりこれらの問題が起こりにくい固定方法を考える必要があります。
ただし、固定力を求めて必要以上にたくさんテープを貼ってしまうのはよくありません。肌トラブルの原因となり、顔が小さい赤ちゃんにとっては違和感や不快感にも繋がります。

■より問題が起こりにくい方法「鼻翼基部固定」とは?

上記のような問題をより起こりにくくする方法の一例が「鼻翼基部固定」(びよくきぶこてい)です。
施設もしくはご家庭で使用されているテープを用いてできる方法をご紹介します。

1.テープを貼る準備
まず、肌を清拭して水分や皮脂が無い状態にしておきます。
テープを、①、②の形にそれぞれカットします。①は鼻翼基部に貼るため、貼付時の違和感が少なくなるよう左側が小さくなるように台形の形にカットします。②はY字に切り込みを入れておきます。どちらもカドを丸くカットしておくことで、より剥がれにくくなります。


※テープのサイズはあくまで目安です。顔に合わせて調整しましょう。過剰に貼付してしまわないよう、必要最小限を心がけてください。

2.①のテープを貼る
鼻翼近くまで貼り込むように、①のテープを貼ります。
このとき、テープの粘着面同士を貼り付けてチューブを浮かせる、いわゆる「Ω固定」を意識してください。また、チューブが鼻孔縁に押し付けられてしまうとMDRPUが発生する場合があるので、強く当たらないようにチューブに余裕を持たせた状態で固定します。異常が無いか確認できるように鼻翼がテープで隠れないように貼る、といったことも心がけましょう。

3.②のテープを貼る
鼻から少し離れた頬に、②のテープをΩ固定で貼ります。
この時、①のテープと②のテープの間に隙間があると指をひっかけて抜去されやすくなってしまいます。②のテープを①のテープに多少かぶらせて貼るのがポイントです。
このように貼ることで、発汗や鼻水による剥がれが生じやすい鼻の頭や鼻下を避け、なおかつ口にかからないため違和感が少ない状態で、チューブを固定することができます。

※あくまで一例です。「鼻翼基部固定」が適用できるかどうかは、実際の患者さんの状況によって判断してください。また、右側の鼻孔にチューブが留置される場合は、テープのカットや貼る向きを逆にしてください。

■小児の経鼻チューブ固定には、どんなテープを選ぶべき?

基本的には施設もしくはご家庭で使用されているテープをお使いいただけますが、赤ちゃんは成人よりも発汗が多く、テープに唾液や鼻水が付着することも多いです。

そのため可能であれば、テープ自体が水に強いものを選んで使うとより安心です。例えば水蒸気透過性が高く汗をかいても外部に蒸散してくれる速乾素材のものや、唾液や鼻水が浸み込みにくい防水素材のもの等がおすすめです。


○経鼻チューブ固定「専用品」について
テープを選ぶ際、経鼻チューブ固定専用のテープを検討する方法もあります。
「クリアホールド」は、水蒸気透過性 が高く防水性もあるフィルム素材を採用した経鼻チューブ固定専用テープです。透明素材なので貼ったまま肌の観察もでき、薄くて貼りごこちも快適です。

また、以下の記事では、今回紹介した「鼻翼基部固定」以外の方法として、クリアホールドをアレンジした小児への経鼻チューブ固定方法を紹介しています。
小児への経鼻チューブの固定方法|大人用「クリアホールド」を小児サイズにアレンジ

さいごに、テープにはチューブを固定できる程度の粘着力は必要ですが、赤ちゃんの肌は成人よりも脆弱です。テープを剥がす際は剥離剤(リムーバー)の使用も検討しましょう。

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